濃州孫六作の三徳包丁はどこの包丁?関孫六との違いと選び方

木のまな板に斜めに置かれた黒い樹脂柄の三徳包丁 包丁の選び方

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静岡で料理歴15年のコウスケです。包丁を集めて研ぐのは10年以上続けていて、これまで50本以上を自分の台所で使ってきました。

濃州孫六作という名前は、たいてい自分で選んで出会うものではないですよね。カタログギフトをめくっていたら載っていた、ポイントの交換先に並んでいた、いただいた箱を開けたら入っていた。そういう順番で名前を知って、あとから「これって、どこの包丁なんだろう」と検索した人が多いと思います。しかも字面が関孫六とよく似ているので、同じものだと思い込んでいた人もいるはずです。

先に正直なところを書いておきます。私の台所に濃州孫六作はありません。使い込んだ感想を語る記事ではないです。作っている会社が公開している情報と、実際に売られているページを一つずつ開いて、この銘の正体と選び方を組み立てました。数字の出どころは全部本文に書いてあります。

調べていていちばん意外だったのは、作っている会社が自分で運営している公式ネットショップに、濃州孫六作が一本も置かれていなかったことでした。店はちゃんと動いているのに、この銘だけない。その理由に見当がつくと、カタログギフトで届く事情まで一本の線でつながります。

  • 作っているのは岐阜県関市の株式会社佐竹産業。公式の会社概要にある取扱ブランド欄に、濃州孫六作と濃州正宗作が並んで書かれている
  • 貝印の関孫六とは別の会社。どちらも関の刀匠「関の孫六」の名にあやかった別々のブランドで、同じものを作り分けている関係ではない
  • 三徳はシリーズが違っても刃渡り170mm、刃はモリブデン含有ステンレス鋼が共通。値段の差は柄の材と表面の加工で付いている
  • 主な流通はカタログギフトとポイント交換、それにギフトモール。2026年10月2日時点では公式ネットショップに置いていないので、普通に買うなら通販。同じ日に確かめたAmazonの三徳は2,218円から3,258円で、量販店の入門機と同じ土俵にいる
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濃州孫六作の三徳包丁は誰が作っている包丁か

包丁の銘には、会社名そのままのものと、会社が持っている商標のものがあります。濃州孫六作は後者です。ここを押さえないまま検索すると、関孫六の記事と佐竹産業の製品ページ、それにどこの会社かも分からないギフトの販売ページが入り混じります。かえって分からなくなるわけです。ここでは、誰が作っているのか、名前の似た関孫六や濃州正宗作とはどういう関係なのか、そしてなぜカタログギフトで届くのかを順番に片づけます。

濃州孫六作は佐竹産業のブランド名

結論から書きます。濃州孫六作は、岐阜県関市にある株式会社佐竹産業が持っている包丁の銘です。公式サイトの会社概要に、取扱ブランドとしてこう書かれています。「濃州正宗作・濃州孫六作・VIA KITCHEN・PISCES・MACARON 他」。社名ではなくブランド名の欄に入っている、というのが大事なところです。

同じ会社概要から、会社の輪郭も分かります。正式社名は株式会社佐竹産業、英文社名は SATAKE CUTLERY MFG.Co.,Ltd.、代表者は代表取締役社長の佐竹安広さん。本社所在地は岐阜県関市東福野町6-21で、創業は昭和22年2月。1947年なので、刃物の町で80年近く続いている会社です。事業内容の欄は包丁だけに絞られていません。「国内・国外向刃物(包丁・はさみ)、キッチンウェア、ビューティケア、つめ切り、洋食器、農耕具、シャープナー、砥石、工芸品、観光小物」と並んでいます。

この品ぞろえの幅が、あとで出てくる流通の話につながります。つめ切りから観光小物まで扱う会社は、贈答品や景品の棚に商品を置く仕事に慣れているんです。

裏取りも取れています。Amazonの商品ページでブランドやメーカー名の欄を見ると、今回確認した三徳3本はいずれも佐竹産業と表示されました。さらにJANコード(バーコードの数字)の先頭が、公式カタログの品番でもポイント交換サイトの商品ページでも4956617で揃っています。別々のサイトに載っている商品が、同じ会社から出ていることを数字で確かめられます。

ひとつ注意しておきたいのが、公式サイトの製品ページには「濃州孫六作」という文字が出てこないことです。公式のカタログは #801-324 や #803-120 のような品番で製品を並べていて、銘のほうは会社概要の取扱ブランド欄にあります。だから「公式サイトで濃州孫六作を検索したのに出てこない」という引っかかりは、あなたの探し方が悪いわけではありません。

なお「濃州」は美濃国、つまりいまの岐阜県南部を指す古い呼び名です。関市は美濃国の中にあるので、産地をそのまま銘に入れている形になります。ちなみに同じ住所と電話番号で関包丁アカデミーという取り組みも運営している会社です。会社の素性は、佐竹産業の会社概要で自分の目で確かめられます。

関孫六との違いは作る会社にある

いちばん多い勘違いから片づけます。濃州孫六作と関孫六は、作っている会社が違います。関孫六は貝印のブランド、濃州孫六作は佐竹産業のブランドです。名前が似ているのは、二つのブランドが同じ刀匠の名にあやかっているからです。

貝印の公式サイトには、関孫六という名前の由来がこう書かれています。「中でも優れた刀匠として知られた人物、2代目「孫六兼元」。関に住んでいたことから「関の孫六」とも呼ばれています。」。そして貝印自身の説明がこう続きます。「貝印は、より使いやすく、よく切れる刃物を追求する中で、「関の孫六」にたどりつきました。」「貝印の最新テクノロジーを融合して生み出したのが『関孫六』の始まりです。」

つまり関という土地に昔から名前を残している刀匠がいて、そこに別々の現代の会社が、別々のやり方であやかっている。それが関孫六と濃州孫六作の関係です。孫六という字が共通しているのは、元をたどれば同じ人の名前だから。会社としてのつながりではありません。

ここから先は言葉を選びます。濃州孫六作は関孫六の廉価版ではありません。同じ工場で作り分けている、片方がもう片方の製造を請け負っている、姉妹ブランドである。そのどれを示す情報も、両社の公式サイトには見当たりませんでした。根拠がない話は書かないことにしています。「別の会社が、同じ土地の同じ刀匠の名にあやかって出しているブランド」。これが事実の全部です。

名前の由来については、ネット上に別の説明をしている解説も見かけます。二十七代目の方に由来する、という書き方をしているものです。関には現在も兼元の名を継いでいる方がいるので混ざりやすいのですが、貝印が自分の公式サイトで由来として挙げているのは2代目 孫六兼元です。名前の由来を確かめたいなら、貝印の関孫六ブランド紹介を直接読んだほうが早いと思います。

では、どちらを選べばいいのか。価格帯だけで言えば、濃州孫六作の三徳は量販店で見かける関孫六の入門シリーズと同じくらいの帯にいます。つまりどちらかが格上という選び方にはなりません。関孫六のほうは量販店で現物を手に取れる強みがあり、濃州孫六作はギフトの棚で選べる強みがある。それぞれの実力の話は関孫六の評判を匠創・ダマスカス・10000CLで比べた別記事にまとめてあるので、名前で迷った人はそちらと見比べてみてください。

濃州正宗作とはどう違うのか

濃州孫六作を調べていると、もうひとつ似た銘が出てきます。濃州正宗作です。これは他社のものではありません。さきほどの会社概要の取扱ブランド欄に、濃州正宗作と濃州孫六作が並んで書かれています。同じ佐竹産業が持っている、二つの銘です。

組み立て方は共通しています。「濃州」という産地の古名に、刀匠の名前を足して「〜作」で締める。孫六のほうは関の孫六、正宗のほうも刀剣の世界でよく知られた名です。だから見分ける手がかりは、刃や箱に入っている銘の文字そのものしかありません。シリーズ名や型番から判別できる仕組みにはなっていません。

実務的に押さえておきたいのは、次の2点です。

  • 銘が違っても、同じ会社の同じ住所から出ている。だから「正宗作は良いけど孫六作は違う会社の安物」というような読み替えはできない
  • 逆に、銘が違えば仕様が同じとも言えない。刃渡りや鋼材は銘ではなく品番ごとに決まっているので、確かめるときは品番か商品ページの仕様欄を見る

流通での見え方は少し違っていて、濃州正宗作のほうは刺身包丁などの和包丁でも名前を見かけます。包丁のミカタでも刺身包丁の入門記事で濃州正宗作に触れています。もし手元の包丁の銘が「濃州正宗作」だったら、それも佐竹産業の品だと考えて大丈夫です。

この記事であえて書かないことを先に明かしておきます。濃州孫六作がふるさと納税の返礼品になっているかどうかは、確認できませんでした。検索すると関連しそうなページは出てくるのですが、商品名に濃州孫六作と書かれたものは見つけられませんでした。関市の返礼品としてはっきり確認できたのは、同じ佐竹産業が提供事業者になっている濃州正宗作の和包丁セットのほうです。確かめていないことを「返礼品にあります」と書くわけにはいかないので、ここは空欄のままにしておきます。

似た銘が二つあることは、読者としては面倒です。ただ、会社が一つだと分かってしまえば話は単純になります。どちらの銘を持っていても、問い合わせ先も作り手も同じ関市の会社。そう理解しておけば、箱に書かれた文字の違いで悩む必要はなくなります。

カタログギフトで届き、公式では買えない

ここがこの記事でいちばん書きたかったところです。濃州孫六作を検索する人の多くは、カタログギフトやポイント交換で見かけて調べています。その見かけ方には理由があります。

佐竹産業は2025年7月12日に、自社の公式ネットショップをオープンさせています。「THE MASAMUNE 伯」という名前の店です。カートもちゃんと動いていて、店としては生きています。ところが2026年10月2日に店の中で「孫六」を検索すると、返ってきたのはこの一文でした。「お探しの商品は見つかりませんでした」。

店の棚に並んでいるのは、和包丁の青紙や白紙、洋包丁の粉末ハイス鋼や8A、10Aといった鋼材別の品ぞろえでした。かなりプロ寄りの構成です。つまり公式ネットショップは本気の一本を売る店として作られていて、少なくとも2026年10月2日時点では濃州孫六作がそこに置かれていません。だから「公式で買える」と案内することはできません。ここを曖昧にすると、読んだ人を行き止まりに送ることになります。

では、どこで手に入るのか。2026年10月2日に実際にページを開いて、商品が載っていること、注文の手続きに進めることを確認できたのは次の4つです。

買える場所 確認できたこと
Amazon 複数の型番が在庫あり。カートに入れられる。価格は2,200円台から3,200円台
シャディ ギフトモール 「濃州孫六作 三徳和包丁」が販売価格4,400円(税込)で掲載。カートに入れるボタンあり
STOREE SAISON セゾンの永久不滅ポイントとUCポイントの交換先。小三徳包丁が掲載
リンベル ギフトリスト(eGift) 17,380円コースのギフトリスト商品として三徳包丁が掲載

STOREE SAISONの商品ページは、情報の書き方がいちばん丁寧でした。メーカーの欄に「株式会社佐竹産業」、原産国・原産地の欄に「日本(岐阜県関市)」。原材料は「モリブデンステンレス刃物鋼、ステンレススチール」で、重さは本体105g、JANは4956617247665。ここまで書いてあれば、もらった側でも正体を確かめられます。

シャディの三徳和包丁は、仕様の書き方が公式カタログとは少し違っていました。「●現品全長約29cm・刃渡り約17cm」「●刀身=モリブデンステンレス刃物鋼、柄部=木製」。刃渡りは約17cmで公式カタログと揃っていますが、柄が木製です。ギフト向けの仕立てがあるということなので、箱の仕様欄は毎回読んだほうがいいです。

検索結果には通販カタログ系のサイトにも商品ページが出てきます。ただ、こちらからは中身を取得できず、価格と在庫を確かめられませんでした。確認できていないものを「ここで買えます」とは書けないので、上の4つにとどめておきます。普通に自分用として買うなら通販がいちばん手早いです。各シリーズの説明のところに、在庫を確かめたリンクを置いてあります。

刃渡り170mmと鋼材は全モデル共通

シリーズ名がいくつもあるので迷うのですが、公式カタログを横に並べると、三徳包丁の芯の部分は驚くほど揃っています。刃渡りも鋼材も、ほとんど共通です。

系統 品番 刃渡り 刃の材質 柄の材質
オールステンレス #801-324 170mm モリブデン含有ステンレス鋼 ステンレススチール
Titanium Coating #802-413 170mm モリブデン含有ステンレス鋼(チタンコーティング) ポリプロピレン樹脂(PP)
Air Off Dimple #803-120 170mm モリブデン含有ステンレス鋼 ポリプロピレン樹脂(PP)
Air Off Dimple+オールステンレス #803-175 170mm モリブデン含有ステンレス鋼 ステンレススチール
ブラック #806-824 170mm モリブデン含有ステンレス鋼(ノンスティック加工) ABS樹脂、TPR
口金付古流仕上げ #807-913 170mm モリブデン含有ステンレス鋼 ABS樹脂
鍛接ダマスカス鋼 #800-631 170mm 積層鍛接複合鋼材(69層 ダマスカス鋼) 304ステンレススチール(18-8ステンレススチール)

見てのとおり、刃渡りは7系統すべて170mm。刃の材質も、ダマスカスを除く6系統がモリブデン含有ステンレス鋼です。家庭用の三徳としては標準的な長さで、鋼材もこの価格帯で広く使われている系統です。

ということは、シリーズを選ぶときに動いているのは鋼材ではありません。変わっているのは柄の材と、刃の表面の加工です。柄はステンレス、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂とTPRの組み合わせに分かれます。表面のほうは、加工なし、チタンコーティング、ノンスティック加工、くぼみ加工。切れ味の土台は共通で、手に持った感触と食材の離れ方が変わる設計になっています。

型番のことで、ひとつだけ気をつけてください。公式カタログの品番は #801-324 や #803-120 のように「#」と6桁の数字が並ぶ形ですが、通販サイトで見かける型番は HG2801、A-40CA、35Y のようにまったく別の形をしています。この二つの体系は対応表が公開されていないので、「この通販の型番は公式のこの品番と同じ」と決めつけることはできません。仕様を確かめたいときは、買おうとしている商品ページに書かれている刃渡りと材質を読むのが確実です。この記事でも、公式の品番とAmazonの型番は別のものとして扱っています。

逆に言えば、どのシリーズを選んでも刃渡り170mmとモリブデン含有ステンレス鋼という共通の芯は動きません。贈りものとして届いたものがどのシリーズか分からなくても、三徳なら台所で同じように使える、と考えて大丈夫です。

柄の素材だけが違う同じ長さの三徳包丁3本をまな板に並べて比べた様子

濃州孫六作の三徳包丁をシリーズ別に選ぶ

ここからは一本ずつ見ていきます。先に書いたとおり、刃渡りと鋼材は共通なので、選ぶ軸は「柄をどうしたいか」と「刃の表面に何を期待するか」の二つしかありません。それぞれのシリーズについて、公式が何と書いているか、その説明をどこまで信じていいか、いま実際に買えるのはどれかを並べます。価格は2026年10月2日時点のもので、通販の値段は動きます。

チタンコーティング三徳包丁は買いか

検索でよく出てくるのがこのシリーズです。公式カタログでは Titanium Coating という名前で、品番は #802-413。刃渡りは170mm、刃の材質は「モリブデン含有ステンレス鋼(チタンコーティング)」、柄はポリプロピレン樹脂です。つまり刃の中身はほかのシリーズと同じで、その表面にチタンのコーティングが乗っている構成です。

Amazonで在庫を確認できたのは、チタンコーティングの170mm、型番 HG2801 のものでした。2026年10月2日時点で2,218円、重さは約185gで、柄はポリプロピレン。価格だけ見ると、コーティングの分が大きく乗っているわけではありません。

Amazonで佐竹産業 濃州孫六作 チタンコーティング 三徳包丁 170mm(HG2801)を見る

ひとつ急ぎの注意です。この型番は2026年10月2日時点で「残り3点(入荷予定あり)」でした。在庫が薄いので、読んだタイミングで売り切れている可能性があります。もし表示が消えていたら、このあと紹介するくぼみ付きのAODか、柄まで金属のオールステンレスに切り替えてください。刃渡りと鋼材は同じなので、切れ味の土台は変わりません。

チタンコーティングに何を期待していいかは、正直に書きます。コーティングは刃の表面に乗っている層です。だから新品のうちは食材が貼り付きにくく、見た目のくすみも出にくい。ただし刃先は使えば鈍るので、いずれ研ぐことになります。研げば、刃先のコーティングはそこから失われます。切れ味が永久に続く仕組みではありません。

コーティングされた包丁は家庭用でよく見かけますが、使い方によって向き不向きがはっきり出ます。期待の仕方を含めて、チタンコーティングの包丁をどう見るかはチタンコーティング包丁のデメリットをまとめた別記事で細かく書いています。贈りもので届いてこれから使う人も、買う前に読んでおくと扱い方の見当がつきます。

私の見方としては、このシリーズは「表面加工で選ぶ」というより「柄が軽い樹脂で、価格がいちばんこなれている一本」として見たほうが納得できます。185gは三徳としては標準より少し重めで、手元に軽さだけを求める人には他の選択もあります。

AOD三徳包丁のくぼみは何のためか

検索窓に「濃州孫六作 チタンコーティングaod三徳包丁」と打ち込んでいる人がいます。このAODという3文字、意味を書いている記事が見当たりません。答えを書きます。AOD は Air Off Dimple の略です。公式サイトに Air Off Dimple という製品カテゴリがあり、そこに該当する包丁が並んでいます。

Dimple は「くぼみ」。刃の側面に並んでいる楕円のくぼみのことです。公式の説明をそのまま引きます。

「エアーオフディンプルが付いた包丁は切った食材が刃に付きにくい切れ離れの良さが特徴です。刃の摩擦が少なく軽い力で鋭く食材に入るため、長時間調理しても疲れにくくプロにも好まれるタイプです。」

要するに、切った食材が刃にくっついて離れないのを減らすための加工です。じゃがいもや大根のような水気のある野菜を薄切りしていると、断面が刃にぺたっと張り付いて、いちいち振り落とすことになります。あれを軽くするための仕掛けだと考えると分かりやすいです。

公式カタログでは、くぼみ付きの三徳が2種類あります。品番 #803-120 は柄がポリプロピレン樹脂、品番 #803-175 は柄までステンレスのオールステンレス仕様。どちらも刃渡りは170mm、刃の材質はモリブデン含有ステンレス鋼です。くぼみは鋼材の違いではなく、側面の形の違いだと分かると、価格が大きく変わらない理由も納得できます。

今回いちばん手早く届きそうだったのが、このAODの三徳でした。型番 35Y で2026年10月2日時点の価格は2,608円、刃渡り170mm、刃はステンレス鋼、柄は樹脂です。発送までの表示は「通常3〜4日以内」。今回確認した3本の中ではいちばん短い表示でした。待たされにくいという意味で、まず見るならここだと思います。

Amazonで佐竹産業 濃州孫六作 AOD 三徳包丁 170mm(35Y)を見る

期待値の話もしておきます。くぼみ加工は、貼り付きを完全になくす魔法ではありません。公式の説明も「切れ離れの良さ」までで、どの食材にどれだけ効くかという踏み込んだ話はしていません。私もこの包丁で切り比べた経験がないので、食材ごとの効き方をここで保証することはできません。はっきりしているのは、公式が書いているのが切れ味そのものではなく離れ方だということです。くぼみがあるから鋭い、という読み替えはしないでください。

刃の側面に楕円のくぼみが一列に並んだ三徳包丁の側面

オールステンレス三徳包丁の注意点

柄まで金属で一体になっているタイプです。公式カタログでは品番 #801-324 がこれにあたり、刃渡り170mm、刃はモリブデン含有ステンレス鋼、柄はステンレススチール。さきほどのくぼみ付きにもオールステンレス版(#803-175)があります。

人気の理由は、つなぎ目がないことです。木や樹脂の柄だと、刃と柄の境目に水や食材のかすが入ります。全部が金属なら、その隙間がありません。洗いやすいし、見た目もすっきりします。重さの参考として、ポイント交換の商品ページに載っていた小三徳は本体105gでした。

ただ、ここで必ず読んでおきたい一文があります。公式の製品ページに、メーカー自身が書いている注意書きです。

「※ステン(Stain)は「汚れ」という意味で、ステンレス(Stainless)は他の金属と比較して汚れに強い金属を指していますが、錆(Rust)を完全に防ぐ素材ではありません。したがって、使用後のお手入れが不十分な場合、錆が生じてしまいますのでご注意下さい。」

紹介記事の多くは、オールステンレスを「錆びにくくて衛生的」と書いて止めます。作っている会社自身は、錆びない包丁ではないと明言しているんです。ここを読み飛ばして「金属だから放っておいても平気」と思い込むと、柄の付け根あたりから点錆が出て驚くことになります。使ったら洗って、水気を拭いて、立てて乾かす。やることは木の柄の包丁と同じです。

Amazonで在庫を確認できたのは、柄までステンレスのフルメタルタイプ、型番 HG2001 でした。2026年10月2日時点で3,258円。今回確認した3本の中ではいちばん高く、発送までの表示は「通常6〜7日以内」でした。

Amazonで濃州孫六作 フルメタル 三徳包丁 170mm(HG2001)を見る

金属一体の包丁は、手が濡れているときに滑りやすいという癖もあります。濡れた手で鶏肉をさばくような作業が多い人は、樹脂柄のほうが安心なこともあります。このタイプの得手不得手はオールステンレス包丁のデメリットをまとめた別記事で整理しているので、見た目で決めそうになっている人は先に目を通してください。

水滴の残る流し台に置かれた柄まで金属の一体型三徳包丁

ブラック三徳包丁とペティナイフを選ぶ

黒い刃のシリーズもあります。公式カタログの品番は #806-824。刃渡り170mm、刃の材質は「モリブデン含有ステンレス鋼(ノンスティック加工)」、柄はABS樹脂とTPRの組み合わせです。TPRはゴムのような弾力のある樹脂で、握ったときに指が滑りにくい部分に使われます。

公式の説明はこうです。「黒を基調としたソリッドなデザイン。洗練されたストレートラインで手の馴染みやすさ、滑りにくさを追求しました。(アールデコ調)」。読んで分かるとおり、ここで押しているのは切れ味ではなく見た目と握りやすさです。贈りものとして見栄えがするのも納得できます。

黒く見えているのはノンスティック加工の層です。だから扱い方の注意はチタンコーティングと同じで、研げばその部分の加工は失われます。刃先が銀色に戻っていくのは不良ではなく、研いだ証拠です。黒いまま一生使えると思って買うと、最初の研ぎで気落ちします。

このシリーズには、ブラックのペティナイフやシェフナイフを探している人もいます。実際、検索ではそういう組み合わせで調べられています。ここは正直に書きます。今回、在庫と価格を自分で確かめられたのは三徳の3本だけです。ブラックのペティやシェフについては、どの商品ページが現行品なのか確証を取れませんでした。確かめていないものにリンクを張って「これが買えます」と書くことはしないので、この記事では紹介を見送ります。

もしブラックのペティを探すなら、見るべき欄は決まっています。刃渡り(ペティなら120〜135mm前後)、刃の材質(モリブデン含有ステンレス鋼と書いてあるか)、メーカー名の欄(佐竹産業になっているか)。この3つが揃っていれば、同じシリーズの小型版だと判断できます。黒い包丁は他社からもたくさん出ているので、色だけで選ぶと別の会社の品が混ざります。

三徳とペティを両方そろえたい場合は、セットの商品も出回っています。セットについては、このあとの古流とダマスカスの話のところで触れます。先に言っておくと、セット物はギフト流通でよく見かける形なので、箱の中身の仕様表記を読む習慣が余計に大事になります。

古流とダマスカスと包丁セット

最後に、ちょっと毛色の違う2系統と、セット物の話です。

ひとつは口金付古流仕上げ。公式カタログの品番 #807-913 で、刃渡り170mm、刃の材質はモリブデン含有ステンレス鋼、柄はABS樹脂。口金というのは刃と柄の間に入る金属のパーツで、境目を締めて水の入り込みを抑える役目があります。和包丁の見た目に寄せた仕上げなので、洋包丁の形が好みでない人に向いています。

ギフト流通では、見た目の近いものが「三徳和包丁」として出ています。さきほど触れたシャディの4,400円の品がそれで、仕様欄を読むと刃渡りは公式カタログと同じ約17cm、ただし柄はABS樹脂ではなく木製でした。公式のどの品番にあたるかは書かれていないので、#807-913と同じものだと決めつけることはできません。だから「和包丁」と書かれていても、柄の材と刃渡りは商品ページの仕様欄で確かめてください。

もうひとつは鍛接ダマスカス鋼。公式カタログの品番 #800-631 で、刃渡り170mm、刃の材質は「積層鍛接複合鋼材(69層 ダマスカス鋼)」、柄は304ステンレススチールです。側面に出る波模様が特徴で、この系統だけ刃の材質の表記が他と違います。

ダマスカスについては、この記事ではリンクを置きません。理由は2つあります。通販で見かける「200L」「300H」のような型番と、公式品番 #800-631 との対応が公開されていないので、69層という仕様をそのまま当てはめられないこと。そしてその価格帯が1万円を大きく超えていて、ここまで読んでいる人の予算感とずれていることです。模様が気に入って上位モデルを狙うなら、層数と鋼材の表記がその商品ページ自体に書かれているかを確かめてから決めてください。

セット物についても注意があります。料理包丁の2点セットや3点セット、和包丁2点セットといった形で売られているものがありますが、通販サイトの出品の中にはメーカー名の欄が佐竹産業ではない別の会社になっていて、ブランド欄が「ノーブランド品」になっているものが混ざっていました。箱やタイトルに濃州孫六作と書かれていても、出品情報が別会社なら、佐竹産業の品として扱うことはできません。

セットを買うときに見る欄は3つです。メーカー名が佐竹産業になっているか、JANの先頭が4956617か、仕様欄に刃渡りと刃の材質が書かれているか。ここが揃っていないセットは、値段が安く見えても見送ったほうが落ち着きます。贈りものにするなら特にそうです。

濃州孫六作の三徳包丁をまとめます

最後に、よく引っかかるところを3つ片づけてから、全体をまとめます。

濃州孫六作は関孫六の安いほうですか?
違います。関孫六は貝印、濃州孫六作は佐竹産業で、別の会社のブランドです。どちらも関の刀匠「関の孫六」の名にあやかっているので字が似ています。ただ、同じ製品を作り分けている関係を示す情報は、両社の公式サイトのどこにもありません。価格帯は近いので、上下ではなく横並びで比べるのが正しい見方です。

食器洗い機に入れても平気ですか?
これは答えられません。公式サイトの製品ページにも、販売ページの仕様欄にも、食洗機の可否についての記載が見つかりませんでした。書かれていないものを「大丈夫です」とは言えないので、手洗いを前提に考えてください。柄が樹脂のものもステンレスのものも、使ったら洗って水気を拭く、という扱いが確実です。

カタログギフトでこれを選ぶのは損ですか?
損ではないと思います。刃渡り170mmの三徳で、刃はモリブデン含有ステンレス鋼。家庭の台所で普通に使える構成です。ただ、同じコースに自分の台所で足りていないものが並んでいるなら、そちらを選ぶ判断もあります。包丁は、すでに使えるものが一本あるなら急いで増やす道具ではありません。

まとめます。濃州孫六作の三徳包丁は、岐阜県関市の株式会社佐竹産業が持っている銘の包丁です。創業は昭和22年。包丁のほかにはさみやつめ切り、砥石まで扱う会社で、公式の会社概要の取扱ブランド欄に濃州正宗作と並んで名前が載っています。貝印の関孫六とは別の会社で、どちらも関の刀匠の名にあやかった別のブランド。この一点を押さえれば、検索結果の混乱はほぼ解けます。

選ぶときの軸は3つだけです。柄を金属にしたいか樹脂にしたいか、刃の表面に加工が欲しいか、見た目をどうしたいか。刃渡り170mmとモリブデン含有ステンレス鋼という芯の部分は、どのシリーズを選んでも動きません。在庫がいちばん安定していたのはくぼみ付きのAODで、2026年10月2日時点で2,608円。柄まで金属が欲しいならフルメタルの3,258円です。価格を抑えたいならチタンコーティングの2,218円ですが、こちらは残り3点でした。在庫の表示を確かめてから決めてください。

向かない人もはっきりしています。1万円台以上の包丁と同じ刃持ちを期待すると、たぶん物足りません。これは価格帯から言っているだけで、私が実物を使い比べた話ではないことは断っておきます。この価格帯は、関孫六の入門シリーズと同じ土俵。鋼材で差を付ける帯ではなく、手に持った感触と手入れのしやすさで選ぶ帯です。そして錆びない包丁でもありません。オールステンレスについては、作っている会社自身が「錆を完全に防ぐ素材ではありません」と書いています。

口コミについても触れておきます。この記事では、口コミの件数や内容を集計していません。通販サイトのレビューがゼロのままの型番もあって、数えられるだけの実データが集まらなかったからです。見かけた評判を数のように並べるより、公開されている仕様と買える場所をはっきりさせたほうが、選ぶときに役に立つと考えました。

この記事に書いた品番と刃渡り、刃と柄の材質、くぼみの説明、オールステンレスの注意書き。これらはすべて佐竹産業の公式サイトから取っています。名前の由来だけは貝印の公式サイトが出どころです。価格と在庫は2026年10月2日に自分でページを開いて確かめた数字なので、買う直前にもう一度ご自分の目で確かめてください。

もし箱を開けたところでこの記事にたどり着いたなら、やることは単純です。箱の銘を見て、仕様欄で刃渡りと材質を確かめ、あとは普通に研いで使う。2,000円台から3,000円台で買える帯の包丁ですが、手入れさえしていれば、家庭料理の大半はこの一本で片づきます。高い包丁が正義ではない、というのは私がこのサイトで何度も書いてきたことです。

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