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ハサミを研いでくれる店はホームセンターにもあり、月一回の刃物研ぎの日に外部の研師が受け付ける形が中心です。
静岡で料理歴15年のコウスケです。包丁の切れ味には10年以上こだわってきましたが、ハサミは長いあいだ後回しにしていました。段ボールを開けるたびに引っかかる、裁ちばさみが布を噛む、園芸ばさみが枝を潰す。そのくらいでは捨てる気にもならず、かといって研ぎ方も分からない。そういう宙ぶらりんの道具、家に一本はありませんか。
調べていくと、ハサミの研ぎは包丁とは受け皿がまるで違うことが見えてきました。近所のホームセンターに持ち込めば済むと思っていたら、じつは日程を選ばないと受け付けてもらえなかったり、そもそも包丁だけが対象だったり。この記事では各社の公式ページで実際に確認できた情報だけを並べて、どこへ持って行けば良いのか、いくらかかるのか、何を聞いておけば無駄足にならないのかを整理しました。
- ホームセンターのハサミ研ぎは「常設」ではなく月一回の開催日に集中している
- 公式サイトで料金まで出している店はほとんどなく、電話確認が前提になる
- 裁ち・園芸・キッチンでは受付可否も価格も変わるので、種類を伝えてから持ち込む
- 専門店・宅配研ぎ・シルバー人材センターまで含めると選択肢はかなり広い
ハサミを研いでくれる店はホームセンターで探せる
まずは足元から。家から一番近いホームセンターで済むなら、それに越したことはありません。ただ「ホームセンター=いつでも刃物を研いでもらえる場所」という思い込みは、いったん外したほうが良さそうです。ここでは公式ページで確認できた実態と、料金・納期・持ち込みの段取りを順番に見ていきます。

ホームセンターでハサミは研いでもらえる?
結論から言うと、研いでもらえる店はあります。ただし数は多くありません。そしてハサミの受付条件や料金まで公式に書いている店は、ほとんど見当たらないのが実情です。
はっきりハサミを対象に挙げているのが、兵庫県を中心に展開するホームセンターアグロです。公式ページには「プロの研師があらゆる刃物類の研ぎ直し・修理を承ります。是非ご利用下さい。(有料サービスです)」とあり、対象品目のなかに「ハサミ(洋裁、糸切、生花、植木、理容、手芸等)」と明記されています。包丁は「包丁(柄の取替え、大きな刃こぼれも可)」、ほかに彫刻刀・鉋・ノミ・鋸目立も並びます。受付時間は「9:00~17:00」。ここまで種類を細かく書いてある案内は、ホームセンターとしてはかなり珍しい部類です。
一方、全国区で知名度のあるロイヤルホームセンターは公式に「刃物メンテナンス」のページを持っていますが、見出しは「包丁研ぎサービス実施店舗」で、案内文も「刃先が錆びたり、欠けたりした包丁も諦めないでください」と包丁の話に終始しています。実施店舗として挙がっているのは習志野・千葉北・南千住・森ノ宮・西宮中央の5店舗。料金表は画像で掲載されていて、そこに載っているのは包丁の価格だけです。ハサミについての記載は見当たりませんでした。
ハサミに触れているもう一社が、山陰を地盤に各地へ店舗を広げるホームセンターいないです。こだわり商品の「鋏」を紹介するページに「いないでは各種刃物研ぎ承ります。」と書かれていて、庄三郎裁鋏や和ばさみ、剪定鋏、生花鋏といった品揃えと並べて研ぎの案内が置かれています。サービス案内側の表現は「各種刃物の研ぎ、各種のこ目立て、チェーンソー刃の目立て」で、ハサミ専用の料金や受付条件までは書かれていません。それでも鋏のページで研ぎに触れている以上、問い合わせてみる価値のあるチェーンだと思います。
一方、コメリは公式の「コメリのサービス一覧」に刃物研ぎの項目がありませんでした。こうして並べてみると、「大手だから安心」とは限らず、むしろ地域に根を張ったチェーンのほうがハサミまで面倒を見てくれる傾向がある、というのが公式情報から読み取れる姿です。
ハサミ研ぎがハードルの高い理由もあります。ハサミは刃が二枚で一組になっていて、噛み合わせとネジの締め具合、そして「裏スキ」と呼ばれるわずかな反りで切れ味が決まります。刃先だけを削ってしまうと、かえって布や紙を噛むようになる。だからこそ包丁より扱える人が限られ、受付を絞る店が出てくるわけです。
「刃物研ぎの日」を設けている店が受け皿
ホームセンターでハサミを研いでもらう場合、鍵になるのは「いつ行くか」です。多くの店では研ぎ担当が常駐しているわけではなく、月に一回か二回、外部の研師が来店する日を設けています。
先ほどのホームセンターアグロがまさにそのかたちで、店舗ごとに開催日が違います。公式のサービス案内を見ると、ある店舗は「毎月 第3月曜日・第3火曜日 刃物研ぎ(有料)」、別の店舗は「毎月 第3木曜日 刃物研ぎ(有料)」と、それぞれ別ページで日程が告知されています。第2月曜日や第4月曜日を設定している店舗もありました。同じチェーンでも店舗ごとにバラバラなので、「アグロなら第3月曜」と一括りに覚えると外します。
この仕組みが分かると、探し方も変わります。チェーン全体の公式トップページを眺めても答えは出てきません。見るべきは「自分が行く予定の店舗のページ」で、そこにサービス案内やイベント告知として刃物研ぎの日が載っているかどうか。載っていなければ、その店ではやっていない可能性が高いと考えて良いと思います。
なぜ月一開催なのか。研ぎは道具と場所を選ぶ作業だからです。研磨機を回せば水と粉が飛びますし、金属粉の始末も要ります。店員が片手間にできる作業ではないので、専門の研師に来てもらう日をまとめて設定するほうが合理的なんですね。愛知県内のスーパーやホームセンターを巡回している研ぎ業者の活動予定表を見ると、店名と住所と電話番号がずらりと並んでいて、一人の職人が何店舗も回っているのが分かります。ホームセンターの店頭にいる研師は、その店の社員ではなく外部の職人であることが多い、というのはこの記事を通して覚えておいて損のないポイントです。
もうひとつ。開催日は「持ち込む日」であると同時に、多くの場合「受け取る日」でもあります。その場で研いで返す形式が主流なので、朝のうちに持ち込んで買い物をして、帰りに受け取るという流れが取りやすい。逆に言えば、閉店間際に駆け込むと当日中に受け取れないおそれがあります。
ハサミ研ぎの料金相場と納期はどれくらい?
ここが一番知りたいところだと思うのですが、正直に書きます。ホームセンター各社の公式ページで、ハサミ研ぎの料金を明示しているところは見つかりませんでした。
アグロは「有料サービスです」とだけ書かれていて金額の記載なし。ロイヤルホームセンターは料金表が画像で掲載されていて、そこに載っているのは包丁の価格のみ。ホームセンターいないも研ぎを承ると書いてあるだけで料金の記載はありません。つまり、ネットで料金を調べきってから行くという段取りは、ホームセンターに関しては成り立たないのが実情です。
ただ、相場の見当をつける材料はあります。公益社団法人さいたま市シルバー人材センターは刃物研ぎの料金表を公開していて、令和7年6月1日改定として裁ち鋏600円、刈込鋏700円、菜切り包丁500円、出刃包丁600円、草刈鎌300円、カンナ1,100円、まな板(両面)1,100円と並んでいます。地域のボランティア色が強いぶん、これはかなり安い部類です。
刃物専門の側も見てみましょう。堺刃物商工業協同組合連合会が運営する堺伝匠館は、研ぎ直しの価格を「包丁1,400円より はさみ1,400円より」(送料別)と案内しています。宅配研ぎの丁研は品目ごとに細かく、花鋏1,100円、裁鋏1,430円、握り鋏小660円、握り鋏大880円、剪定鋏1,430円、シザー1,430円。研磨リテックはサイズ刻みで、裁ちが200mmまで1,200円・230mmまで1,300円・260mmまで1,400円・290mmまで1,600円、植木と花は全長共通1,200円、剪定が180mmまで1,100円・200mmまで1,250円・220mmまで1,400円、キッチンが200mmまで1,100円・230mmまで1,200円という設定です。
この並びから見えるのは、家庭用のハサミ1丁でおおむね1,000〜1,500円あたりが専門店の水準で、シルバー人材センターのような地域サービスがその半額前後、ということ。ホームセンターの店頭研ぎは外部の研師が請け負うので、専門店の水準に近いか、店頭価格として少し抑えた設定になっているケースが多いと考えるのが自然です。
納期についても触れておきます。店頭の研ぎ日に持ち込む場合は当日中の受け渡しが基本ですが、状態が悪ければ預かりになります。アグロの案内でも鋸目立については「預りの場合もあります」と但し書きがありました。堺伝匠館は「場合により研ぎ上がりが一週間程度かかる場合もございます」と明記しています。刃こぼれや錆が進んでいるものは、その場で終わらないと考えておいたほうが気が楽です。
持ち込みの手順と受付で確認したい5項目
段取りは単純です。開催日を調べる、電話で受付可否を確認する、刃を保護して持ち込む、その場で相談する、受け取る。この5ステップで終わります。ただ、それぞれに引っかかりやすいポイントがあります。
まず持ち運び。刃を開いたまま袋に入れるのは避けたいところです。ハサミは閉じてから、刃の部分に新聞紙か厚紙を巻いてテープで留め、それをタオルで包んで手提げに入れる。段ボールの切れ端を刃の長さに合わせて折り、鞘のようにかぶせる方法も簡単でおすすめです。研ぎに出すということは刃が傷んでいる状態なので、袋の中で刃先が引っかかって破れることがあります。
次に、受付で聞かれること・聞くべきこと。私が公式情報を突き合わせながら「これは事前に確認しておかないと詰むな」と感じたのは次の5項目です。
- 今月の刃物研ぎの日はいつか(店舗ごとに違う)
- このハサミの種類は受け付けてもらえるか(裁ち・園芸・理容・キッチンで扱いが分かれる)
- 料金はいくらか、サイズや状態で変わるか
- 当日返却か預かりか、預かりなら受け取りはいつか
- 刃こぼれや錆がある場合の追加料金の有無
とくに二つ目が重要です。「ハサミ研ぎやってますか」と聞くと「やってます」と返ってきても、実際には裁ちばさみは受けるけれど理容用のシザーは断られる、といった線引きが現場にはあります。理美容用のハサミは調整の精度が全然違い、ネジの締め具合ひとつで使い物にならなくなるため、扱える研師でないと引き受けません。「ハサミ」ではなく「園芸用の剪定ばさみ」「布を切る裁ちばさみ」と具体名で聞くのが、無駄足を防ぐ一番の近道です。
それから、持ち込む前に自分でできる下準備もあります。汚れや樹液がこびりついていたら、中性洗剤で洗って乾かしておく。園芸ばさみは樹脂が固まっていることが多く、そのまま出すと研ぐ前の清掃分が上乗せされる可能性があります。ただし分解して持ち込むのはやめておいたほうが安全です。ネジを外して組み直すと噛み合わせが変わり、研ぎ手が本来の状態を判断できなくなります。
最後に、複数本まとめて出すかどうか。多くの店は本数で単純に加算していく方式なので、まとめても割引になるとは限りません。ただ移動の手間は一度で済みますし、家中のハサミを見直すきっかけにもなります。私は台所のハサミと園芸ばさみを同じ袋に入れて出す前提で考えるようになりました。

裁ち・園芸・キッチンで扱いが変わる理由
同じ「ハサミ」でも、研ぎの現場ではまったく別の道具として扱われます。この違いを知っておくと、断られたときの理由も、料金差の理由も腑に落ちます。
裁ちばさみは、刃の合わせ面がぴたりと接している時間の長さで切れ味が決まります。布は繊維が逃げるので、刃が少しでも浮くと切らずに押しのけてしまう。研ぎでは刃先の角度だけでなく、二枚の刃が擦れ合う面の当たりを整える必要があります。研磨リテックの料金表が長さ200mmまで・230mmまで・260mmまで・290mmまでと細かく段階を刻んでいるのは、大きくなるほど合わせ面が長くなり、手間が増えるからです。
園芸ばさみ、とくに剪定ばさみはまるで逆の設計です。片方が刃で、もう片方は枝を受け止める「受け刃」になっています。切るというより、刃を枝に押し込んで受け刃で支える構造。だから研ぐのは基本的に切刃の側だけで、受け刃まで削ると枝を潰すようになってしまいます。花ばさみや生花用も似た考え方で、丁研の料金表で花鋏1,100円・剪定鋏1,430円と価格が分かれているのは、この構造差が作業量に直結するからです。
キッチンばさみが一番やっかいかもしれません。分解できるタイプが増え、刃にギザギザの刻みが入っていたり、片方に骨を挟む窪みがついていたり、樹脂の柄と一体成型だったり。刻みのある刃は研ぐと刻みが消えてしまうので、研ぎに出しても元の使い勝手には戻りません。キッチンばさみは「研ぐ道具」ではなく「消耗品」として設計されているものが少なくないのが実情です。
理容・美容用のシザーは、家庭用とは別世界です。刃の噛み合わせを微調整する「ネジ調整」の精度が仕上がりを左右し、素人が触ると開閉が渋くなったり逆にガタが出たりします。丁研でシザー1,430円と一般のハサミと同等の価格が付いているのは宅配専門店だからで、街の研ぎ屋やホームセンターの店頭では「シザーはお断り」となることが多い。持ち込む前の電話確認が効いてくるのは、まさにこういうケースです。
もうひとつ、糸切りばさみのような握りばさみ。丁研では握り鋏小660円・大880円と、他のハサミより安く設定されています。構造がシンプルで刃も短いぶん、作業が軽いということですね。手芸をされる方は、裁ちばさみと一緒に出すと一本あたりの満足度が高いと思います。
ハサミを研いでくれる店はホームセンター以外も比較
ホームセンターで受け付けてもらえなかった、あるいは開催日が合わない。そういうときの行き先を並べておきます。じつはこちらのほうが選択肢は豊富で、料金も納期もはっきりしていることが多いんです。

刃物専門店と町の金物店という近い選択肢
まず思い出してほしいのが、地元の金物店と刃物店です。派手な看板は出ていなくても、店主が研ぎを引き受けているところは今でも各地にあります。私が包丁の産地を回って感じたのは、こうした店は表に出る情報が極端に少ないということ。ネットで検索しても店名しか出てこず、料金も営業時間も載っていない。だから見落とされやすいのですが、実力は侮れません。
刃物の産地に近い公的な窓口も使えます。堺刃物商工業協同組合連合会が運営する堺伝匠館は、包丁とはさみの研ぎ直しを受け付けていて、価格は「包丁1,400円より はさみ1,400円より」(送料別)。受付は「毎日10時~16時30分」で、実際に研ぐのは「毎週土曜日・日曜日の11時~15時」と決まっており、遅くとも14時30分までに持ち込むよう案内されています。混み具合によっては「研ぎ上がりが一週間程度かかる場合もございます」とのこと。郵便での受付についても事務局に相談するよう書かれているので、遠方でも道は残されています(堺刃物商工業協同組合連合会の研ぎ直し案内)。
こうした専門の窓口が強いのは、断らない範囲が広いことです。ホームセンターの店頭研ぎだと「この種類は無理」と言われがちな理容用や特殊形状のハサミも、専門店なら見積もりの上で受けてくれることがあります。刃こぼれが大きい、錆が深い、噛み合わせが狂っているといった修理寄りの相談も同じで、研ぎと修理を切り分けて話ができる相手のほうが結果的に安く済むこともあります。
探し方のコツも書いておきます。「地名+刃物店」「地名+研ぎ」で検索して出てこない場合は、地図アプリで「金物店」「刃物」と検索してみてください。ホームページを持っていない個人商店は検索順位に出てきませんが、地図には登録されていることがあります。それでも見つからなければ、地域の商店街の組合や、包丁を買った店に「研ぎをやっているところをご存じないですか」と聞くのが早いです。刃物を扱う人同士は横のつながりがあるので、名前が出てくることが多い。
宅配研ぎならハサミも送れる?料金を比較
送れます。しかも料金がはっきりしているので、金額を確認してから決められるのが最大の利点です。
宅配研ぎの丁研は、レターパックで送れる範囲を軸に品目別の料金を公開しています。ハサミ類は花鋏1,100円、裁鋏1,430円、握り鋏小660円、握り鋏大880円、剪定鋏1,430円、シザー1,430円。包丁は家庭用包丁(刃渡り21cmまで)1,320円、ペティナイフ990円、出刃包丁(16.5cmまで)1,430円。返送料はレターパックサイズ以下で330円、大型荷物で1,540円と別建てになっています。
研磨リテックはサイズ刻みでの設定で、裁ちが200mmまで1,200円から290mmまで1,600円、290mm超は見積もり。植木・花は全長共通1,200円、剪定は180mmまで1,100円・200mmまで1,250円・220mmまで1,400円、キッチンは200mmまで1,100円・230mmまで1,200円・230mm超は見積もりです。手持ちのハサミを定規で測れば、送る前に金額がほぼ確定するわけです。
宅配研ぎで気をつけたいのは、往復の送料と日数です。貝印の案内では梱包キットの到着まで約2〜5日、そこから研ぎ直しに2〜4週間とされていて、包丁でこれですから、ハサミも同程度は見ておいたほうが良いでしょう。「明日から使いたい」には向かない方法だと割り切って、季節の変わり目や大掃除の前などに、まとめて送るのが現実的です。
逆に、宅配が向いている場面もはっきりしています。近所に受け皿がない、ホームセンターの開催日が平日で行けない、種類が特殊で断られた、複数本まとめて出したい。このどれかに当てはまるなら、送料込みでもトータルでは安く済むことがあります。料金表と返送料を足して、ホームセンターまでのガソリン代と往復の時間と比べてみると、判断しやすいと思います。
シルバー人材センターが穴場になる場面
意外に知られていないのが、各地のシルバー人材センターです。地域によっては刃物研ぎを事業として受け付けていて、料金がかなり抑えられています。
公益社団法人さいたま市シルバー人材センターの例を挙げると、令和7年6月1日改定の料金表として裁ち鋏600円、刈込鋏700円、菜切り包丁500円、出刃包丁600円、草刈鎌300円、カンナ1,100円、まな板(両面)1,100円が公開されています。専門店の相場が1,100〜1,600円あたりであることを思えば、裁ちばさみ600円はかなり安いと言えます。
受付の形も分かりやすく、下町作業所では「毎週木曜日(祝日はお休みします)10:00~13:00」、高齢者生きがい活動センターでは「第2・第4木曜日(祝日はお休みします)(8月はお休みします)9:00~12:00」と、曜日と時間が決まっています。後者には雨天中止の但し書きもあり、屋外か半屋外での作業なのだと分かります。
ここで大事なのは、これはさいたま市の話であって、全国共通ではないという点です。シルバー人材センターは市区町村単位の独立した組織なので、刃物研ぎをやっている地域とやっていない地域があり、料金も品目も違います。お住まいの自治体名と「シルバー人材センター 刃物研ぎ」で調べて、扱いがあるかどうかをまず確かめてください。
価格の安さと引き換えに、割り切りは必要です。研ぐのは地域の会員さんで、専門の研師とは仕上げの水準が違うことがあります。日常づかいの裁ちばさみや園芸ばさみを「そこそこ切れる状態」に戻すには十分ですが、仕事で使う道具や思い入れのある一丁は専門店に出したほうが納得のいく結果になるはずです。私は用途で使い分けるのが良いと考えていて、庭仕事の道具は近場で安く、布を裁つ道具は腕の確かなところで、という線引きをしています。
また、シルバー人材センターは事業として受けているぶん、受付日と処理能力に限りがあります。開催日の朝いちばんに持ち込むと待たずに済むことが多く、逆に終了間際は次回まわしになることも。ホームセンターの研ぎ日と同じで、早い時間に動くほど有利です。
ハサミは自分で研げる?できる範囲の話
正直に線を引きます。家庭用のハサミを「切れ味が戻った」と感じる程度まで復活させるのは可能ですが、狂った噛み合わせを直すのは無理です。
できる範囲から。手軽なのは専用のシャープナーです。ホームセンターの通販でも扱いがあり、たとえばDCMオンラインには京セラの「ハサミ研ぎ器 HT-NBK」が「Web販売価格:510円(税込)」で掲載されています。説明には「金属ハサミ用。スライドするだけで、シャープに研げます。」とあり、砥石はファインセラミックス、本体サイズは縦7×横57×奥60mm、重量約20gという小さなもの。この手の道具は刃先の当たりを軽く整えるためのもので、紙や段ボールが引っかかる程度の鈍りなら実用の範囲に戻せます。
もう一段上として、砥石を使う方法もあります。ハサミの刃を開いて、切刃の面を砥石に当てて元の角度をなぞるように動かす。ポイントは刃の裏側(合わせ面)は絶対に削らないことです。裏を削ると二枚の刃が擦れ合う面が痩せて、隙間ができ、布を噛むようになります。包丁の感覚で「両面を均等に」とやってしまうと確実に悪化するので、ここだけは覚えておいてください。
できないことも、はっきりさせておきます。刃こぼれが目で見て分かるほど大きい、刃が歪んでいる、噛み合わせがずれて開閉時にガタガタする、錆が刃の内側まで入っている。このあたりは家庭の道具では手に負えません。無理に削ると刃の形そのものが変わって、専門店に出しても直せない状態になります。研ぎ屋さんが困るのは「前処理でおかしくされた刃物」で、これは本当にそのとおりだと思います。
包丁とハサミの違いも意識しておきたいところです。包丁は一枚の刃を狙った角度に整えれば切れるようになるので、砥石の練習が素直に上達につながります。ハサミは二枚の関係性で切る道具なので、片方だけ上手に研げても意味がない。私が包丁は自分で研ぎ、ハサミは人に頼むと決めているのは、この構造の違いが理由です。
研ぐより買い替えが安くなる線引き
ここは冷静に計算したほうが良い部分です。研ぎ代は1,000円前後から。一方、量販店の裁ちばさみや園芸ばさみは1,500円も出せば新品が買えます。つまり安価なハサミは、研ぎに出した時点で買い替えとほぼ同額になってしまう。
判断の目安を三つ挙げます。ひとつめは購入価格。3,000円未満で買ったハサミは、研ぎ代と新品価格が拮抗します。よほど手に馴染んでいるのでなければ、買い替えのほうが満足度は高いはずです。ふたつめは構造。刃にギザギザの刻みがあるキッチンばさみ、樹脂と一体成型で分解できないもの、刃がステンレス板を打ち抜いただけの薄いものは、研いでも元の性能には戻りません。みっつめは状態。錆が刃の内側まで進んでいる、開閉にガタがある、ネジが潰れている。この三つが揃ったら潔く卒業です。
逆に、研ぐ価値がはっきりあるのはこういうハサミです。刃物メーカーの名が入った裁ちばさみ、鍛造の剪定ばさみ、贈り物でもらった手芸用、そして親から受け継いだもの。こうした道具は元の作りが良いので、研ぎ直せば新品同様まで戻ります。何度でも研げるのが、良い刃物の一番の価値だと私は思っています。
この考え方は包丁でもまったく同じです。1,000円の包丁に1,400円の研ぎ代を払うのは合理的ではありませんが、しっかりした一本なら10年でも20年でも研ぎながら使えます。私が長く使っているミソノの牛刀もそうで、同じメーカーの「Misono(ミソノ) モリブデン鋼 三徳庖丁 No.581/18cm」は、家庭の万能包丁として研ぎ直しながら付き合っていける一本です。
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最後にひとつ。ハサミを新調するときは、切れ味だけでなく「あとから研げる作りか」を見てください。刃と柄が別部品でネジ留めされていて、刃が厚みのある鋼でできているもの。この二点を満たしていれば、10年後に研ぎに出す価値が残ります。安さだけで選んで、二年ごとに買い直すより、結果としてずっと安くつきます。

ハサミを研いでくれる店とホームセンター選び
ここまでの内容を、実際に動くときの順番でまとめ直します。
最初にやるのは、自分が行くホームセンターの店舗ページを見て、刃物研ぎの日があるかどうかを確かめること。チェーン全体のトップページではなく店舗ごとのページです。ハサミを対象として公式に書いている代表例がホームセンターアグロで、「ハサミ(洋裁、糸切、生花、植木、理容、手芸等)」と種類まで挙げたうえで、受付時間9:00~17:00、開催は月に一度と案内しています。ホームセンターいないも「鋏」のページに「いないでは各種刃物研ぎ承ります。」と書いており、こちらも当たってみる価値があります。一方、ロイヤルホームセンターの「刃物メンテナンス」は包丁研ぎサービスの案内で、実施は習志野・千葉北・南千住・森ノ宮・西宮中央の5店舗。ハサミの記載は見当たりませんでした。
料金はどのホームセンターも公式には出していないので、電話で聞くしかありません。そのとき「ハサミ」ではなく「布を裁つ裁ちばさみ」「庭木の剪定ばさみ」と具体名で伝えること。理容用のシザーは断られることが多い、というのは事前に知っておいて損はない情報です。
金額の見当としては、専門の窓口で家庭用ハサミ1丁がおおむね1,000〜1,500円。堺伝匠館は「はさみ1,400円より」、宅配の丁研は裁鋏1,430円・花鋏1,100円・握り鋏小660円、研磨リテックは裁ち200mmまで1,200円・キッチン200mmまで1,100円といった水準です。地域のシルバー人材センターに扱いがあれば、さいたま市の例では裁ち鋏600円と、その半分以下で受けてもらえることもあります。
そして、研ぐか買い替えるかの線引き。3,000円未満で買った量販品、刻み刃のキッチンばさみ、分解できない一体成型のものは買い替え寄り。メーカー名の入った裁ちばさみや鍛造の剪定ばさみ、譲り受けた一丁は、迷わず研ぎに出す価値があります。
ハサミを研いでくれる店をホームセンターで探すのは、決して回り道ではありません。ただ「いつでも受けてくれる場所」ではないぶん、開催日と種類の確認という一手間が要るだけです。その一手間さえ知っていれば、引き出しの奥で切れなくなったまま眠っている一丁が、来月には現役に戻ります。段ボールがすっと切れる感触は、一度味わうと戻れませんよ。
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